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2011年7月10日日曜日

CAPの概要

以下の内容は、神戸でCAPプログラムを実施している“Cサポート・こうべ”の許可を得て、「2010年度CAP実施についての報告書」より抜粋しています。

1.CAPの歴史

1978年米国オハイオ州コロンバス市のレイプ救援センターで初めて開発・実施される。
(現在実施している、小学生プログラムの全身/その後、発達段階に応じた各年齢や知的障がいのある子どもへのCAPであるスペシャルニーズ・プログラムが開発される。)
1985年森田ゆりさんによって日本にCAPプログラムが紹介される。
1995年CAPプログラムを実践する専門家、CAPスペシャリスト養成講座が相次ぎ開催され、日本各地でCAPグループが設立され始める。
1998年 「CAPセンター・JAPAN」が設立される。
2001年 特定非営利活動法人(NPO法人)CAPセンター・JAPANとなる。(http://www.cap-j.net/
2009年 NPO法人CAPセンター・JAPAN(南部)と一般社団法人 J-CAPTA(北部)が日本におけるCAPトレーニングセンターとしてICAPと契約を結ぶ。現在、世界11ヵ国、アメリカ32州で実施されている。

2.CAPの基本的な考え方(3つの柱)

◎エンパワメント―子どもの問題解決力への信頼と働きかけ

エンパワメントとは、人はみな生まれながらに様々な素晴らしい力を持っているという信念から出発する考え方で、これまで弱者の立場に追いやられ、力を持たされなかった人たちの本来持つ力を信じ、その力や個性を充分発揮できるように働きかけることです。
エンパワメントはCAPの基礎となる理念で、CAPプログラムのいたるところに具体化されています。子どもをおとなが守るべき弱い存在とみるのではなく、子どもの力を信じ、「あなたには~ができる」と行動の選択肢と問題解決の方法を共に考え、子どもたちの暴力に対処する力をサポートします。

◎子どもの権利―「安心・自信・自由」の人権概念

CAPでは、子どもたちに「あなたは、大切な人だよ」ということを「あなたは、安心して自信をもって、自由に生きる権利をもっているよ」とわかりやすい言葉で伝えています。この「安心・自信・自由」の3つの権利は、食べたり寝たりする権利と同じ、「生きていくためになくてはならない権利」=人権です。
子どもたちが「自分には、大切な権利があるんだ」と知ることによって、この特別な権利(人権)が奪われそうになったとき、人権意識を持ち困難な状況を変えていこうと自分を守ることができるようになります。

◎コミュニティ―家庭・学校・地域をつなぐ

いじめや虐待などの暴力のない社会をつくるためには、家庭と学校と地域の連携と協力が不可欠です。CAPは、子どもの持つ内なる力を信じ、子どもの人権を尊重し、子どもへの暴力のない社会をつくるため、教職員、保護者、地域のおとなにプログラムを提供していきます。CAPプログラムで共通認識をもち、学校・家庭・地域が一体となって、子どもの安全と権利を支えていくことを目指しています。
全国的に不審者による子どもたちの安全が脅かされる事件は多発しており、かつ依然としていじめや虐待などの深刻な社会問題も子どもたちを取り巻いています。
このような子どもへの様々な暴力(いじめ・虐待・誘拐・性暴力等)から子どもが自分自身を守るための方法学ぶCAPプログラムを実施することで、地域・学校・家庭が連携して、子どもへの暴力の早期発見と減少を図ります。CAPはコミュニティの安全のための活動です。

3.CAPの3つのアプローチ(ワークショップ)

CAPプログラムは、「教職員ワークショップ」と「保護者ワークショップ」、「子どもワークショップ」の3つのワークショップで成り立っています。子どもワークショップの直後に行われるトークタイム(個別の復習・練習の時間)を含むこれらすべてが実施されてはじめて、CAP本来の効果をあげることができます。
子どもが暴力に合いやすい要因を減らすため、CAPはこの3つのアプローチを行なっています。

4.子どもへの暴力を許さないコミュニティづくりのために…

”CAP”おとなワークショップ

  • 教職員ワークショップ
  • 保護者ワークショップ
保護者や教職員、地域のおとななど、子どもを支える立場にある人が、子どもの人権を尊重し、エンパワメントの支援のあり方を理解し、子どもの暴力について正しい知識を持つことは、子どもへの暴力防止にとってとても大切なことです。

そのためCAPでは、教職員ワークショップ(専門職対象)と保護者ワークショップという2つのおとなワークショップを実施しています。


おとなワークショップにかかる時間は約2時間。人数の制限はありませんが、人数によって講演会形式やワークショップ形式になります。
おとなワークショップでは、社会に広まっている誤った暴力の認識(社会通念)について学んでいきます。これまでは、誤った社会通念のもとでおとなも子どもも、暴力に対してお互いに話し合えない、話しても信じてもらえない、そしてお互いに助け合うという関係がなかなか生まれてきませんでした。その中、子どもたちは孤立させられ、暴力に合いやすいままにされてきていました。
そこで、子どもが孤立する、暴力にあいやすい状況を減らすために、子ども同士が助け合う、あるいは、おとなが子どもを援助するようなコミュニティ(地域)をつくるように、おとなに働きかけていきます。
さらに、子どもが暴力について、ことばにして話すことができるためには、おとなが子どもの話を共感しながらきちんと聴くことが大切であり、そのための具体的な方法を提案していきます。

「Cサポート・こうべ 2010年度CAP実施についての報告書」より

CAP実施のお知らせ
CAP講習会アンケート結果